INTRODUCTION

過去の悲しみも輝きも抱きしめて―
人生の最終章まで楽みたいあなたに贈る人生賛歌。
スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督 待望の最新作!
アルモドバル版『ニュー・シネマ・パラダイス』の誕生。
 2019年のカンヌ国際映画祭でのワールドプレミアで喝采を浴びて、アントニオ・バンデラスが主演男優賞に輝いて以来、本年度の賞レースの一角に鮮やかな足跡を残し続ける注目作。最終コーナーとなるアカデミー賞®でも、国際長編映画賞と主演男優賞の2部門にノミネートされた。  

 監督はポップな映像とユーモアにあふれた作品でデビューを飾り、初期の頃にはスペインの奇才と呼ばれたペドロ・アルモドバル。母の愛を描いた感動作『オール・アバウト・マイ・マザー』では、アカデミー賞®外国語映画賞を獲得し、『トーク・トゥ・ハー』でアカデミー賞®脚本賞を受賞するなど、今や名匠として世界中からリスペクトされている存在だ。そのアルモドバルが70歳という円熟期を迎え、自らの命を注ぎ込んだ、初の自伝的な作品を完成させたのだ。人生の深みに分け入るテーマと、独自の感性による美しい映像で全盛期を想起させると共に、奥行きのある味わい作品と、各国メディアからも手放しの絶賛を受ける最高級の逸品が、ついに日本にも披露される。

 アルモドバル監督を投影させたサルバドールを演じるのが、アントニオ・バンデラス。1982年にアルモドバル監督の『セクシリア』でデビューして以来、共に歩んできた監督の「今回ほど一体感を覚えたことはない」と語るバンデラスの演技は、新境地を開いたと称えられている。そしてアルモドバルのミューズ、ペネロペ・クルスも母親役として出演。たくましく懸命に生きた女性を力強く演じた。

   人は誰しも、立ち止まることがある。けれども勇気を出して過去と向き合えば、痛みと共に必ず愛と喜びがあったことに気づくはず。幸せな記憶はもちろん、その痛みさえも抱きしめれば、自分を許して再び歩き出すことが出来る。人生100年時代がやってきたと言われる今、人生の最終章まで楽しむ術を見せてくれる、感動の人間賛歌。

STORY

脊椎の痛みから生きがいを見出せなくなった世界的映画監督サルバドール(アントニオ・バンデラス)は、心身ともに疲れ、引退同然の生活を余儀なくされていた。そんななか、昔の自分をよく回想するようになる。子供時代と母親、その頃移り住んだバレンシアの村での出来事、マドリッドでの恋と破局。その痛みは今も消えることなく残っていた。そんなとき32年前に撮った作品の上映依頼が届く。思わぬ再会が心を閉ざしていた彼を過去へと翻らせる。そして記憶のたどり着いた先には・・・。

CAST

アントニオ・バンデラス
Antonio Banderas
サルバドール/Salvador
1960年、スペイン・マラガ出身。1982年、ペドロ・アルモドバル監督作『セクシリア』で映画デビュー、スペインではトップスターとなる。その後、『マンボ・キングス わが心のマリア』(92)でハリウッドデビュー。『フィラデルフィア』(93)、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(94)、『デスペラード』(95)など話題作に出演し、一躍世界的なスターへと飛躍した。近年の主な出演作に、『マスク・オブ・ソロ』(98)、『スパイキッズ』(01)、『ファム・ファタール』(02)、『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード』(04)、『レジェンド・オブ・ゾロ』(06)、『ルビー・スパークス』(12)、『オートマタ』(16)、『アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール』(19)、『ライフ・イットセルフ 未来に続く物語』(19)、『ドクター・ドリトル』(20)など。
出演したアルモドバル作品:『マタドール<闘牛士>・炎のレクイエム』(86)、『神経衰弱ぎりぎりの女たち』(87)、『欲望の法則』(87)、『アタメ』(89)、『私が、生きる肌』(11)、『アイム・ソー・エキサイテッド』(13)。
ペネロペ・クルス
Penélope Cruz
若いころのハシンタ/Jacinta, young
1974年、スペイン・マドリード出身。1992年、『ハモンハモン』で映画デビューを果たす。『美しき虜』(98)でスペイン映画芸術科学アカデミーによるゴヤ賞にて初の主演女優賞を受賞。続いてペドロ・アルモドバル監督の『オール・アバウト・マイ・マザー』(98)に出演、国内外で高く評価されたこの作品をきっかけにハリウッドへ進出し、『それでも恋するバルセロナ』(09)でアカデミー賞助演女優賞を受賞し一躍人気女優となる。実生活では、ハビエル・バルデムと結婚し、2児をもうけている。近年の主な出演作に、『エレジー』(08)、『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』(11)、『ローマでアモーレ』(12)、『悪の法則』(13)、『オリエント急行殺人事件』(17)、『誰もがそれを知っている』(18)など。
出演したアルモドバル作品:『ライブ・フレッシュ』(97)、『オール・アバウト・マイ・マザー』(98)、『ボルベール〈帰郷〉』(06)、『抱擁のかけら』(09)、『アイム・ソー・エキサイテッド!』(13)
アシエル・エチェアンディア
Asier Etxeandia
アルベルト/Alberto
1975年、スペイン・ビルバオ出身。テレビ、舞台、映画を中心に活躍している。主な出演作に、『ネスト』(14)、『ラ・ノビア』(15)、『あなたのママになるために』(15)など。
レオナルド・スバラーリャ
Leonardo Sbaraglia
フェデリコ/Federico
1970年、アルゼンチン・ブエノスアイレス出身。アルゼンチンでは絶大な人気を誇る。『逃走のレクイエム』(00)からスペイン映画にも出演するようになる。主な出演作に、『10億分の1の男』(01)、『carmen.カルメン』(03)、『ユートピア』(03)、『サルバドールの朝』(06)、『人生スイッチ』(14)、『エンド・オブ・トンネル』(16)など。
ノラ・ナバス
Nora Navas
メルセデス/Mercedes
1975年、スペイン・バルセロナ出身。映画やテレビドラマなどスペインでは多くの作品に出演。主な出演作に、『ブラック・ブレッド』(10)、『フリア よみがえり少女』(12)、『笑う故郷』(16)など。
フリエタ・セラーノ
Julieta Serrano
年老いたハシンタ/Jacinta, old
1933年、スペイン・バルセロナ出身。主に映画や舞台を中心にスペインでは活躍。主な出演作に、『バチ当たり修道院の最期』(83)、『マタドール<闘牛士>炎のレクイエム』(86)、『神経衰弱ぎりぎりの女たち』(87)、『アタメ』(89)など。

DIRECTOR'S PROFILE

監督・脚本 ペドロ・アルモドバル
Pedro Almodóvar
1951年、スペイン・ラ・マンチャ出身。小説、音楽、演劇などさまざまな分野の芸術活動を繰り広げ、独学で映画作りを学んだ。『セクシリア』(82)、『バチ当たり修道院の最期』(83)、『欲望の法則』(87)、『神経衰弱ぎりぎりの女たち』(87)、『ハイヒール』(91)などで世界的に注目される。“女性賛歌3部作”の1作目にあたる『オール・アバウト・マイ・マザー』(98)でアカデミー賞外国語映画賞、カンヌ国際映画祭監督賞など数多くの賞を獲得した。続く『トーク・トゥ・ハー』(02)もアカデミー脚本賞に輝くなど絶賛される。近年はプロデューサー業などで若い才能を見出している。
Filmography
『PEPI, LUCI, BOM Y OTRAS CHICAS DEL MONTON
PEPI, LUCI, BOM AND OTHER GIRLS LIKE MOM』(80/監督・脚本)
『セクシリア』(82/監督・脚本・出演)
『バチ当たり修道院の最期』(83/監督・脚本)
『グロリアの憂鬱/セックスとドラッグと殺人』(84/監督・脚本)
『マタドール<闘牛士>炎のレクイエム』(86/監督・脚本)
『神経衰弱ぎりぎりの女たち』(87/製作・監督・脚本)
『欲望の法則』(87/監督・脚本)
『アタメ』(89/監督・脚本)
『イン・ベッド・ウィズ・マドンナ』(91/出演)
『ハイヒール』(91/監督・脚本)
『ハイル・ミュタンテ! 電撃XX作戦』(93/製作)
『キカ』(93/監督・脚本)
『私の秘密の花』(95/監督・脚本)
『ライブ・フレッシュ』(97/監督・脚本)
『オール・アバウト・マイ・マザー』(98/監督・脚本)
『デビルズ・バックボーン』(98/製作)
『トーク・トゥ・ハー』(02/監督・脚本)
『死ぬまでにしたい10のこと』(03/製作総指揮)
『バッド・エデュケーション』(04/製作・監督・脚本)
『ボルベール〈帰郷〉』(06/監督・脚本)
『抱擁のかけら』(09/監督・脚本)
『私が、生きる肌』(11/監督・脚本)
『アイム・ソー・エキサイテッド!』(13/監督・脚本)
『人生スイッチ』(14/製作)
『エル・クラン』(15/製作)
『ジュリエッタ』(16/監督・脚本)
『永遠に僕のもの』(18/製作)
『天才たちの頭の中~世界を面白くする107のヒント~』(18/出演)

INTERVIEW with PEDRO ALMODÓVAR

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